この作品について

オリジナル世界についての説明です。歴史的背景と地理的状況が主になります。

=魔法の歴史=
 エクメネと呼ばれる、魔法が禁忌とされた世界。約1,000年前に終結した古代の大戦を教訓とし、人々はその絶大な力を捨て去った日常。
 この世界の魔法の起源は、まだ国家や文明という存在が曖昧だった頃にまで遡る。現存する最古の記録では、強く念じることで意のままに万物を操る力と記されている。
 古代人の精神に突如そのような力が発現し、その中でも特に優れた者達が台頭して大いに人類は繁栄した。しかし、やがて過ぎた欲望が生まれ、戦争へと発展。魔法を使った戦は凄まじく、数年の内に世界の人口は激減し、大地は血と強すぎる魔力で穢れて殆どの生命が死滅してしまったという。
 残された者達は、戦争など続けられない程に行き詰まり、そこで初めて自分達がしてきたことの不毛さ、残酷さに気づいた。魔力の恐ろしさを知った人々は、荒野となった大地に緑の種を植え、命の再生を祈った。そして、それより前の時代に書かれたものも含めて、全ての魔法に関する書物を焼き払い、魔法を世界の彼方へと追放した。
 こうした経緯から、現代人から見た魔法は恐怖の対象となっている。魔法の存在は知れど、再現を試みる人はいない。

=『英雄』=
 古代大戦で戦功を上げた人々の事。老若男女問わず、出身や身分も統一性がない。彼らの共通点は、戦中魔法を使わず戦い抜いたという一点のみ。そのため現代でも彼らを崇拝している人は多く、英雄の武勇にあやかって大陸間を渡る旅の剣士、戦士も珍しくない。ただ、魔法使いでありながら名が知れている人も極稀に存在する。この場合の呼び方は英雄ではなく、名前で呼び捨てが主流。

=『万国共通の文化』=
技術的な文明レベルは中世ヨーロッパ、産業革命以前をイメージしていますが、倫理観などの考え方まではその限りではありません。
●単位
 距離、時間、日付などの生活に必要な単位は現実世界と同じものを使用。メートル、秒、1月2月など。(※作者の気分や雰囲気によって出てきたり出てこなかったりなので、あまり文中に出てこなくても気にしないでください。)
●言語、文字
 書き言葉、話し言葉ともに日本語を使用。(※人名がヨーロッパ風な人がいるなどの、言語の肌合いの違いについては、後々本編で語る事ができればと思います。ので、気長にお待ちください。)
●四季
 冬が存在しない。現実でいう冬の期間は秋のような肌寒い程度の気候が続き、徐々に温かくなり、春に移行する。雪は降らない。よって、服装も薄手のものが多く、軽装が主流。
●動植物
 現実と同じ動植物が生息。現実での極寒地に生息する動植物は存在しない。
 樹木を大切にする強い思想があり、不必要な伐採は固く禁じられている。人間の住処の為に森を切り拓く際は、授木師と呼ばれる者たちが土地を調査し、切り倒す樹の種類や量を定める。なお、森への立ち入りや猟自体は禁じられていない。伐採さえしなければ森の中では何をしても咎められる事はない。
●授木師
 非公開情報
●街、村
 森を開拓するには思想的壁と制度的壁を越えなければならないので、平原などの土地に固まって大きな街を形成するケースが多い。
 森の中で暮らす人々も少数派だが存在し、街との交易で珍しい品々をもたらしてくれるので商人たちからは優遇されている。
●魔法嫌い
 冗談でも魔法と口にすれば周囲の空気が凍りつく、徹底した魔法否定の価値観が根付いている。古代大戦の反省から、魔法に関わる事は禁忌とされる。そのため、生き残った魔法使いが逃れた空には不吉な迷信が多い。例として、雷は魔族の怒りの現れとされ、恐れられる。一方で、雨は樹木の栄養となるので、「死後もなおこの世界を守ろうとする英雄の力」と見なされている。
●魔族
 魔法使いの事。古代大戦で魔法を使い多くの死者を出したために、現代にいたるまで忌み嫌われる。
●古代大戦
 現代から約1,000年前に終結した、世界中を巻き込んだ大規模な戦争。魔法の力に溺れた人々が引き起こした悲劇であり、現代人に与える思想的な影響は大きい。

=エクメネの地理=

(この地図は創作仲間の木菟 伶様が作成してくださいました。感謝です)
下部分~ヴェルディア大陸
 主人公やえなの出身地。様々な民族がそれぞれの街や集落を形成して生活している。大陸を統べる正式な国家はない。
 東西二つの大陸を陸路で結ぶ重要な中継地。そのため別大陸との交流は盛んで、独自に交易をしている地域の中には非常に大規模かつ高度に発展している街も多い。レオンハルトの出身地トロンヘイムは大陸一の交易街。貿易が軌道に乗るにつれて人が集まり、小さな国のような規模にまで拡大している。
 この大陸で有名な英雄はリツィアー・ルクエンとカーデュアス・コラロイド。前者の使用武器は槍。どちらが名前でどちらが名字か分かっていない。後者は大剣を振るう大男であり、燃えるような赤毛と髪とは対照的な海の碧眼を持っていたと伝わる。

左部分~エスディア大陸(ティデール王国)
 地形の起伏に富み、平地での農耕や牧畜が盛んな国ティデールが統治する大陸。現在は亡き父の後を継いだ娘が王を務めている。大陸中央を流れる人工河川は国の誇りであり、首都を潤す生命線と言われる。
 大陸の南の方は森が多いので、農耕などより食品や被服の加工、旅人の宿として生計を立てる街が主になる。
 この国の英雄はジフラーテ・ピューラという女性。弓の扱いに秀で、派手を好まない堅実な性格の美人だったらしい。名前は前に来る。
 なお、一部地域では、魔法使いでありながら今尚人々の心に存在する戦士がいる。ピーネイロという女魔法使いは炎の魔法を得意としたが、悲劇的かつ潔い最期で例外的に評価は高い。

右部分~アルキア大陸
 平地を中心に小国が密集して成立している。しかし互いの利害が対立してそこかしこで戦争が勃発中。治安は悪いが、科学的な技術が最も発達しているのもここの国々。
 魔族の森と呼ばれる森林地帯と、その中央に位置する湖には、小競り合いを続けるいかなる国家も踏み込まない。

 海に出てこれらの大陸から離れていくと、必ず嵐に遭い、流し戻されてしまう。この世界の人は、この地図中から出る事ができず、外部からの来訪者もいないという閉鎖的な空間の中で生活している。
 原因は不明だが、強い魔力のために時空がねじれているというのが定説。(作者の余談ですが、この設定を利用して別の方のオリジナル世界に遊びに行ったり、二次創作的な事をしてコラボなんかもできます。)
 それでも、外海に出たきり行方不明になる船が昔から絶えない。沈没したというより、その嵐を抜けて異世界へ飛ばされてしまったようであるが、詳細は不明。


新しく設定を思いついたり、何か書き残したり矛盾が生じた場合、書き足します。

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